2013年3月3日日曜日

アンケートの作り方

わかりやすい例があったので紹介してみるよ。

佐川急便が実施しているアンケートなんだけど、アンケートのページはそのうち片付けられてしまうだろうから、ウェブ魚拓のURLを貼っておくね。

http://megalodon.jp/2013-0302-1907-11/https://www2.sagawa-exp.co.jp:443/p4/enquete/cmsff28/question.php

このアンケート、私は答えてみよう思ったんだけど、質問と選択肢が不適切すぎて答えようがなかったんだ。

佐川急便がアンケートを実施した意図はわからないから、もしかしたら「都合のいい回答だけを集めるために慎重に選ばれた質問と選択肢」だったのかもしれない、可能性はあるよ。でもね。

どう考えても、単純に作り方が悪いとしか思えない、ダメなアンケートって珍しくないんだよね。だから「まともなアンケートを作るためのポイント」を書いてみることにしたんだ。ダメっぽいアンケートをネタにしたら、少しはわかりやすくなるかな、と思って。

というわけでポイントをいくつか書いてみるよ。

1.選択肢には「その他」を用意しておく

選択肢に「その他」がないのは『用意した選択肢は完璧だ、この中から選べ』と言っているに等しいんだ。「その他」なしで答えられることが明らかな場合でも「答えられるかどうか」と「どう答えたいか」は別の話だということを忘れちゃいけないよ。

ちなみに、質問が適切で、選択肢も適切だったら「その他」は無視されるだけだから問題にはならない。「その他」があるとアンケートが成り立たないとしたら、それは「その他」が問題なんじゃなくて、質問と選択肢が不適切なんだ。

2.複数選択できるようにしておく

世の中には「一つだけ選ぶことが大事なんだ」と勘違いしている人も多いんだけど…そもそも『最も○○なモノを一つ選べ』なんて質問したところで、殆どの人は適切な回答なんてできないんだよね。質問されるために生きてるわけじゃないし。

『三つまで』にしてみても同じ。選ぶ数を制限する必要なんてないんだ。同じように選択肢が並べられていても、迷わずに一つを選ぶ人もいるし、三つ並べて迷う人もいる。そんなことが大事な情報だったりするからね。とはいえこの辺のことは集計しないとわからないから、「票を数えるだけ」みたいな時には少しだけ工夫が必要だね。

3.回答は「任意」にする

年齢、性別、住所なんかは「必須項目」になってることが多いよね。でもこの手の『お前は誰だ』みたいな質問については「答えたくない!」って人がいるんだ。そういう人たちに『これは必須だ、答えろ』なんてやるとアンケートを拒否されたり、事実とは違う答えが返ってきたりする。

だからどんな項目も回答は「任意」にしくのがいいよ。気分良く答えてくれる人が多くなるし、集計する時にデータの精度がよくなるからね。任意にしておいても殆どの人は答えてくれるよ。途中に空欄を作るほうが気になるからね。

4.最新情報を一つだけ聞く

何時頃にお昼ごはんを食べる人が多いのか、知りたかったとするよね。そこで佐川急便のアンケートと同じ感じに質問を書くと『お昼ごはんを食べるのは何時頃ですか?』となり、選択肢が「11時 / 12時 / 13時 / 14時」となるわけだけど…もちろん私は答えられない。私じゃなくても答えられない人は多いんじゃないかな。

でもこのパターン、ホントによくあるから具体的に書いておくよ。この手の「いつの話かわからない質問」ってのは答えにくいだけじゃなくて、人によって答えに含まれる時間の範囲が違うから回答を集めても役に立たないよ。正しい情報が欲しければ最新情報を一つだけ聞くこと。『今日(または昨日)のお昼ごはんを食べたのは何時ですか?』と聞かれたら、答えるのは簡単だよ。選択肢には「その他」を忘れずに。

5.個と集団の評価をごちゃまぜにしない

これもよくあるパターンだから具体的に書いておくよ。悪い例は『笑顔がステキなコンビニエンスストアを一つ選んでください』とか、そんな感じ。個と集団をごちゃまぜにすると重要な人ほど回答の対象外になるんだ。重要だとされる人ほど「あの人は特別だから」という風に、集団とは別に認識されていたりするからね。

これをより適切な質問にすると「最近一週間くらいの間に、ステキな笑顔の店員さんを見かけたコンビニエンスストアはどこですか?」という感じになるんだけど…人を利用するばかりの組織で歯車みたいになっちゃってる人には、発想が難しいかもしれないね。でもアンケートの相手は個人であることが多いから、適切な質問を考えるためには個人的な感覚を思い出す必要があるよ。

6.アンケートの評価を求める

ここまで紹介したことを実践していたら、とりあえず「まともなアンケート」は作れると思う。思うけど…私が理解しているくらいの事だからね、何か至らないところがあるかもしれないし、勘違いの元が紛れ込んでるかもしれないし、心配だよね。

でも、心配していても何も始まらないよ。上手くいくかどうかわからないけど、アンケートって自分が格好つけるためにやることじゃないからね。大切なのは答えてくれる人、その声にしっかり耳を傾けることだと私は思うんだ。だから最後にこう書こうと思う。

『このアンケートはいかがでしたか。お気づきの点などあればお気軽にご意見ください。今後の改善に役立てたいと思っています。』

これは『あなたの声に真摯に耳を傾けます』というサイン。それを忘れないようにするための、魔法のおまじない。


今日の「まともなアンケートを作るためのポイント」講座はここまで! おつかれさま!

こんな記事でも誰かの目に触れて、どこかのアンケートが少しでも良くなって、世の中の幸せがちょっとでもいいから増えたらいいんだけどなぁ。どうかなぁ。