サイズが変更になった!
画面のサイズが縦に少し長くなった。
ピクセルの大きさはそのまま、今までのアプリは今までと同じ大きさで表示されるのはいいんだけど、本体が縦に長くなった分手とアプリの位置関係が変わってしまうのが気になるところ。
iPhone 5 の縦 1136px というのは iPhone 4 / 4S の 960px から 176px アップになる。一般的な広告の高さは 100px だから、これまで無料アプリでは広告に支配されていた領域が解放され、さらに広くなる感じかな。いいこと?
でも私は画面が縦に長くなったら片手で操作する時に操作しにくくなると思うんだよね。たぶん親指がちょっと届かない。今でも操作する部分が画面の上と下とに分かれてるアプリを片手で操作すると大変なのに、さらに縦長になったらいよいよ操作できなくなるかな。
気にならない人は手が大きくて親指が柔らかいのか、いつも両手でしか操作しないのか…「試してやろう」って思うと両手で構えるから、気づいてないのかもしれないね。
本体が薄く軽くなったのも気になるところ。重量バランスはどうしたんだろ。だって縦長になった iPhone を片手で持つことを考えたら、ユーザーに安定感や安心感を与えるためには重心を少し下にする必要がある。でもそれを横にするとバランスが悪くなってしまう。今まで通り重心を中央に持ってくると、縦に持った時に少し不安定さが増す。
この辺の「安定感」「安心感」といったところ、殆どの人は気づかないと思うけどとても重要なことなんだ。もしかしたら「気づかないから重要」なのかもしれないね。
もう少し細かい話をすると、画面サイズが縦に 18.3% 長くなったのに対して本体サイズは 7.5% しか長くなっていない。だから重心の変化は画面サイズの変化と比べたら小さいんだけど…厚さが薄くなると iPhone が手と触れる面積が縮小するから、支えるのは少し不安になる。そのぶん軽くなっていて、支える力は小さくても大丈夫だとは思うけど、でも縦に長くなったぶん重心が不安定になっているかもしれない。
現代人にとって、モノとしての安定感や安心感はアプリや電波の安定性に勝る。みんな気づいてないけど、行動はそうなってる。iPhone 5 はまだトップを走り続けることができるのか、それともNokia が頑張るのか、実物を触ってみないと何とも言えないところだと思っている。
あと、画面の広くなった分をどう使うかという問題もある。Apple はこういう時いつも互換性を考えない。だから iPhone 5 に対応していないアプリを iPhone 5 で利用する時のユーザー体験はあまり良くないだろうね。それで開発者は iPhone 5 に合わせてアプリを作るだろうけど…どうなるのかな。多くの開発者は今まで通り画面の上部にナビゲーションバーを配置するだろうし、画面の下部にタブバーを配置するよね。Apple のフレームワークが抜本的に改革されるという話も聞かないし。それは iPhone 5 に対して正しいデザインだろうか。
ほかにも細かいことは色々とあるんだけど、大雑把にまとめると iPhone 5 は画面のサイズを変更して機能的には良くなったかもしれないけど、デザインは悪くなったと私は言っておくよ。Android に一歩近づいたね。
アレイマイクが搭載された!
やっとマイクが改良された。でも個人的には「そろそろステレオ対応したらどうなのよ?」と思っていたんだけど。まぁステレオ対応は大変なのでアレイマイクにするのは妥当な判断だったと思う。
とはいえ、前後方向を意識してきたのは予想外だった。動画に合わせてそうしたんだろうけど、単純な録音の時はどうなるのかな。今までの iPhone のマイクにも単純な感度の調整機能はついていて、その機能の有効無効は切り替えられたんだけど…録音は今まで通りかなぁ。電話とは逆に近くの音を弱くする制御が使えたら面白いんだけど…Appleって自分たちが使わない機能は作らないメーカーだから、期待はできないかな。
とにかく『ききとり上手』が上手く動けば個人的には歓迎かな。今までのマイクが手抜きだったので、アレイマイクは素直に歓迎していいと思う。
NFCは搭載されなかった!
iPhone 5 の発表前に話題になっていた NFC は搭載されなかった。搭載されたらいいなーとは思っていたけど、AppleがAppleらしいアプリを作るのは難しそうだから今後も期待はできないかな。Android の後を追うだけになっちゃうからね。
NFC じゃなくてもいいんだよね。TransferJet でも大丈夫。「至近距離での無線通信」ができればいいんだ。そう考えると人体通信 ( BAN: Body Area Network とも呼ばれる技術。IEEE 802.15.6 で標準化されつつある ) あたりを利用したら今までにないアプリケーションが色々できて面白いとは思うけど。
対応する無線が増えた!
アンテナの性能はまだわからないけど、LTE対応とデュアルバンドの無線LAN対応は素直に歓迎する。今までの通信が今までと同程度の性能を保っていれば文句はない。改良されていたらもっといいけどね。
DockがLightningになった!
コネクタを変更することは悪くない。でもどうなんだろ。アクセサリを開発できるのかな。
例えば Mac で使われている磁石で固定される電源コネクタ「MagSafe」は、サードパーティがアクセサリを作ることができない。ACアダプタが小さくならないのも、車で充電できるアダプタがないのも、Apple が悪い。模造品が困るのはわかるけど、無駄に禁止するのは頭が悪いとしか思えない。
iPhone との通信プロトコルがある程度公開されて、アクセサリが作られる状況になるならコネクタは変更してもいいと思う。Dock はちょっと大きすぎたからね。アクセサリ類に関してはアクセサリと通信するための API もあるので、さすがの Apple でもここでサードパーティを切り捨てることはないだろう。たぶん。
とはいえ、Apple をよく知っている人ほどこの手の改善は素直に喜べないんじゃないかな。Apple は今までもこの手の改善とあわせて何かを制限したり、何かを切り捨てたりしてきたから。しかも横暴なやり方で。今回はどうなんだろうね。
A6になった!
2倍速くなったらしいけど…どうも嘘っぽい。Mac が PowerPC プロセッサを採用していたころの「口先だけ高性能」の時代を思い出す。だってメモリ帯域が倍になったわけでもないのに、プロセッサを少し改良したくらいでグラフィックス性能が2倍になるなんてありえないでしょ。
新しいプロセッサになって、高速になって、同じ処理をするなら省電力になったのは間違いないと思う。けど「2倍高速」はたぶん Apple 信者向けのリップサービスじゃないかな。そういうことを歓迎するマニアに向けて製品を作ってしまう、いつかの時代に戻りつつあるように感じられるよね。
ほかにも色々あるけれど…
全体的に、デザイン上の問題は増えている。きっと多くの人は気づかない。気づかないけど Apple はまたゆっくりと、いつか歩いたのと同じ道を進むことになるんじゃないかな。
次は Android か Windows Phone か…いや、もしかしたら Mozilla の Boot to Gecko かもしれないね。とにかく iPhone が最先端でいられる時代はそんなに長くないと思う。
とはいえ、あと1~2年は安泰かな。今のところ iPhone より優れたデザインの端末は見当たらないし、iPhone よりもアプリを作りやすく売りやすいプラットフォームもなさそうだし、iPhone よりもユーザーがアクティブな端末も殆どないと思う。というわけで、私はもうしばらく iPhone アプリの改良を頑張るつもり。iPhone 5 は予約しないといけないね。
そういえば au の iPhone 5 ではテザリングができるとかなんとか…ソフトバンクがテザリング非対応で au が対応するんだったら、au の iPhone を追加で持つという方法もありかもしれないね。